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マンガ大好きユキチです。
今回は、楳図かずおさんの名作漫画『漂流教室』を、ご紹介させて頂きます。
実写映画にもなっているのですが、『漂流教室』の世界は、映像では十分に再現できていません。壮大なスケール、おどろおどろしい世界と恐怖は、漫画を読んでこそ味わえるものです。読む楽しさを損なわない、最小のネタバレで『漂流教室』を、ご紹介させていたただ来ます。
1.『漂流教室』の基本情報
著者 | 楳図かずお |
出版社 | 小学館 |
連載雑誌 | 週刊少年サンデー |
掲載期間 | 1972年~1974年 |
巻数 | 全6巻(文庫版) |
恐怖漫画を描いていた楳図さんが、初めて取り組んだSF作品です。この『漂流教室』以降、楳図さんは、環境問題や未来を描いた、社会問題を題材としたSF漫画を描いていきますが、もともとのベースが恐怖漫画であるため、どの作品も怖いです。
参考)楳図さんの恐怖漫画(絵が怖いです…)
2.『漂流教室』のあらすじ
大和小学校の6年生の高松翔は、ある朝、母親と大げんかをして「二度と家に帰ってくるか!」と言い放ち、家を飛び出して学校に行きます。授業が始まってすぐに、突然、大きな地震が発生、揺れが収まって、学校の窓から外を見ると、学校の敷地から外は、岩と砂漠だけの荒れ果てた大地に変貌していました。
(漂流教室1巻から引用)
電話もラジオもテレビも繋がらない世界に、教師、生徒たちは大パニックとなります。やがて、飢餓や先々の不安、未知の世界の恐怖心から、内部分裂や、殺し合いが起き、大人は一人、また一人と死んでしまいます。
この世界はいったいどこなのか? また、子供達だけでこの世界を生き残れるのか? 続きが読みたくなる展開が最後まで続きます。
3.『漂流教室』は『十五少年漂流記』の影響を受けている
楳図さんは、この『漂流教室』を描くときに、話の構想の部分は、小説『十五少年漂流記』を意識して、物語を描き始めたようです。
参考)十五少年漂流記
【あらすじ】15人の少年たちだけを乗せた船が、ふとしたことから荒海に出てしまい、大嵐にもまれ、無人島に漂着。15人は、生きるために知恵を絞り困難を乗り超えていく。
しかし、『漂流教室』は、15人ではなく、小学生が、約900人です!
4.前半は人間の狂気、後半は自然の脅威との闘い
『漂流教室』の物語の前半は、生き残った大人、子供達が、過酷な環境で精神が歪んでいく怖さが描かれています。どちらからいうと、こちらは『十五少年漂流記』よりも、小説『蠅の王』に近いのかもしれません。
参考)蠅の王
【あらすじ】アメリカ陸軍幼年学校の生徒24名が飛行機事故で無人島に漂着。少年たちは2つのグループに分かれ対立。少年たちは行動に歯止めがきかなくなり、理性を失って暴走をはじめます。
後半は、荒れ果てた世界と、またそこからやってくる未知の敵と子供達の闘いとなります。
5.まとめ
40年以上前の作品ですが、古さを感じない、恐怖SF漫画の代表作です。楳図さんの画風によるところが大きいですが、人間の本性の根源的狂気と恐怖、かすかに残る希望を楽しめます。現在の連載作でここまで重くても楽しめる漫画はありません。まさに漫画全盛期の名作です。