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マンガ大好きユキチです。
今回は、業田良家(ごうだよしいえ)さんの漫画『機械仕掛けの愛』を、ご紹介させていただきます。
業田さんの漫画を読むのは久しぶりでした。1話完結の非現実的な物語の中に、コミカルに、人の悲哀が描かれている、いい漫画でした。
1.『機械仕掛けの愛』の基本情報
著者 | 業田良家 |
出版社 | 小学館 |
連載雑誌 | ビックコミック |
掲載期間 | 2010年~ |
巻数 | 既刊7巻 |
業田さんは、1983年に4コマ漫画『ゴーダ君』でデビューしてから短編マンガを中心に描かれているベテランの漫画家さんです。この『機械仕掛けの愛』で、手塚治虫文化賞短編賞や、文化庁メディア芸術祭マンガ部門・優秀賞を受賞されています。
漫画のタイトルは、スタンリー・キューブリック監督の迷作?映画「時計じかけのオレンジ」の影響を受けていますね。
参考)時計じかけのオレンジ
2.『機械仕掛けの愛』は『火の鳥』を彷彿する。
『機械仕掛けの愛』を読んだときに一番最初に感じたのは、心をもったロボットと人間の物語…どこかで読んだことあるな…でした。もの悲しい余韻を残す物語…それは、手塚治虫さんの名作漫画『火の鳥』です。
『火の鳥』の壮大な物語と比較はできないですが、復活編と未来編に出てくる、ロボットと人間の愛は、共通するものを感じました。しかし『機械仕掛けの愛』は、1話24ページの内に物語を収めているところがすごいです。
3.持ち主に飽きられたペットロボの女の子
第一話「ペットロボ」を、ご紹介させて頂きます。
若い夫婦が遊園地で、女の子の姿をしたペットロボットと遊んでいます。しかし妻は、「あの子、もう2年も使っているから、飽きてしまったなぁ…次は男の子にしない?」と夫と話しています。
夫婦は、ペットロボット店で、小さな男の子ロボットを購入。夫婦と男の子が楽しく遊んでいる隣の部屋で、女の子ロボットは充電をしながら、「またワタシは中古として売られていくのかな…」と、過去に買われた家々で受けた、苦い思い出を思い出しています。
しかし、その子にも唯一の幸せな時期を過ごした、忘れられないお母さんがいるのでした。そして、女の子ロボットは、そのお母さんに会いに行くのでした…。泣けてきませんか?この続きがまた、涙腺崩壊の物語です。
主人公はロボットなのですが、ほとんどの話が人間に置き換えられる物語です。
4.まとめ
残酷な話もあるのですが、業田さんのソフトな画のおかげで、じんわりと心に響いて、読後に不快感はありません。短編作として非常にうまくできており、最後のどんでん返しなど、オー・ヘンリーの短編小説の作品「最後の一葉」や「賢者の贈り物」に、匹敵する良さがあると思います。
(ちょっと褒めすぎかな…笑)