いつもありがとうございます。
マンガ大好きユキチです。
今回は、登山、クライミング漫画『孤高の人』を、ご紹介させていただきます。
この漫画を読んで、建設関係のアルバイトをしている時に、一緒にバイトをした山男を思い出しました。その人は30歳を超えていたと思いますが、アルバイトをしてお金を貯めては、世界の山々を登っている山男でした。
その人が今はどうしているかは全くわかりませんが、この『孤高の人』を読んで、平凡な日常とは、まったく異なる、死と隣り合わせの山男の世界を知ることができました。
1.『孤高の人』の基本情報
著者 | 原案:新田次郎、作画:坂本眞一 |
出版社 | 集英社 |
連載雑誌 | 週刊ヤングジャンプ |
掲載期間 | 2007年~2011年 |
巻数 | 全17巻 |
原案は、実在した昭和の登山家「加藤文太郎」をモデルにした新田次郎さんの小説『孤高の人』です。小説は1969年の作品ですので、この漫画の『孤高の人』は、物語を現代にして、大幅なアレンジが加えられています。
作画の坂本眞一さんは、とにかく写実的な絵が、うまくてきれいです。坂本さんはインスタグラムに作品をアップされているので、参考に引用しておきます。
2.『孤高の人』のあらすじ
友人を失い、心を閉ざした高校3年の転送生・森文太郎は、転校初日に、同じクラスで、クライミングが趣味の宮本にけしかけられて、校舎をよじ登りはじめます。
(「孤高の人」1巻から引用)
一歩間違えば、転落死する極限状態から屋上まで登りきった瞬間、文太郎は、今までに感じたことは無かった ”生きている” ことを実感する充実感を味合うのでした。
その出来事以降、文太郎は「生きている実感」を確かめるために、クライミングにのめり込んでいきます。
3.登場人物の描写が素晴らしい
主人公、文太郎は、いっさいの人付き合いもせず、一人で過酷な山に登るために、登山以外の生活のすべてを、登山のためのトレーニングと自己鍛錬に費やします。また、複数の同行者が協力して登るのが登山の常識ですが、常に一人単独行によって山を登っていきます。
そんな文太郎も「なぜこんな生活をしているのか?」「自分は異常な怪物なのではないか?」と、登山にのめり込む自分に対して自問自答し、悩みながら孤独な登山中心の生活を送っています。
不器用で、人との付き合いができない世渡り下手な文太郎ですが、途中、そんな彼を好きになってくれる女性も現れるため、読者は「文太郎、よかったなぁ…」と温かい気持ちにさせてもらえます。
また、脇役の登場人物達も、成長して物語の後半に出てくるのですが、登山一筋の変わっていない文太郎と違い、「えっ、あいつが!?」と、かなりサプライズに変わっていたり、文太郎と同じ、単独行する登山家の衝撃的な末路など、脇役のその後の物語も楽しめます。
4.まとめ
多くの登場人物が、過酷な自然に呑み込まれ、けっこう簡単に死んでしまいます。そこまでして、なぜ山に登るのか?登り終えた人だけにわかる中毒性があるのでしょう。読む人は、平穏な日常とは違った、過酷な山に挑戦する冒険の世界を体験できます。
原案の小説自体がいい作品であり、それに、坂本さんの画と表現力が加わって、出会ってよかったと言える漫画です。登山を続けている文太郎のラストは、小説とは違った終わり方ですが、私は漫画の終わり方がすごく好きです。