土田世紀『同じ月を見ている』 人間の醜さと理不尽を直視させられる青春漫画です。

いつもありがとうございます。

マンガ大好きユキチです。

今回は、ちょっと古いですが、土田世紀さんの『おなじ月を見ている』を、ご紹介させていただきます。

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結構、残酷で悲しい物語です。

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1.『同じ月を見ている』の基本情報

著者 土田世紀
出版社 小学館
連載雑誌 週刊ヤングサンデー
掲載期間 1998年~2000年
巻数 全7巻

泥臭く、昭和的、演歌的な絵もですが、漫画に出てくる登場人物達も、不器用でストレート、見た感じもダサくて、そんな土田世紀さんの漫画は、(好きな人は)中毒になるほど面白いのです。しかし、土田さんは、2012年に42歳で亡くなられており、新作が読めないのが残念です。

『同じ月を見ている』の主人公ドンちゃんは、土田さんが好きな作家、宮沢賢治をモデルに描かれています。

2.『同じ月を見ている』のあらすじ

水代元(みなしろ げん)は、ある夜、ペンを持って少年院を脱走します。

優しい母親が亡くなり、酒を飲んでは暴力を繰り返す父親と暮らしていた小学生の元は、どんくさいことから、みんなからドンと呼ばれていました。ドンちゃんは絵を描くのが好きで、人の心の中に浮かんでいることを絵にできる不思議な少年でした。

小学校二年生の時、ドンちゃんと友人の鉄ちゃんは、山の上の外国大使の別荘で、病気療養にきていた大使の娘、エミと友達になります。やさしいドンちゃんに惹かれるエミは、二十歳になるまで、毎年の誕生日に、自分の絵を描いてくれとドンちゃんに頼み、二人は約束を交わします。

高校生に成長したドンちゃん、鉄ちゃん、エミ。これから自分の人生を切り開いていく3人に、哀しく厳しい運命が待っているのでした…。

3.誰よりも強くて優しくて、哀しいドンちゃんの物語

この『同じ月を見ている』は、誰よりも心優しいドンちゃんと、彼に影響を受ける人々の物語です。ネタバレ少なく書くのは難しいですが、偽りなしに、みんなの幸せを願っているドンちゃんに対して、普通の人は警戒して、敵愾心を抱いたりします。

漫画を読んでいる私たちも、初めは、そんなドンちゃんを「そんなヤツいないよ…しょせん漫画だから…」と思っているのですが、だんだんと、人の幸せばかり願っているドンちゃんに、「もっと、自分の幸せを考えてくれ!」と、願わずにはいられなくなります。

4.まとめ

読んだ後に、良かった。面白かった。で終わる漫画は多いですが、この『同じ月を見ている』の終わり方は、かなり余韻を残します。人それぞれ捉え方は違うと思いますのが、読む人の心を動かす漫画であることは間違いないです。

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