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マンガ大好きユキチです。
今回は、肥谷圭介さんの漫画『ギャングース』を、ご紹介させて頂きます。
肥谷さんの画はホント個性的で、好き嫌いは分かれると思います。ただ読み進んでいくとその物語と肥谷さんの画が合ってくるから不思議です。
『ギャングース』は、詐欺集団、闇金などの裏稼業の金を専用に狙う窃盗団を結成した最底辺に生きる少年達の物語です。
1.『ギャングース』の基本情報
著者 | 原作:鈴木大介、作画:肥谷圭介 |
出版社 | 講談社 |
連載雑誌 | 週刊モーニング |
掲載期間 | 2013年~2017年 |
巻数 | 全16巻 |
肥谷圭介(ひやけいすけ)さんの代表作がこの『ギャングース』となります。「ギャング」とそれを喰らう「マングース」をかけ合わせて「ギャングース」というタイトルにしたそうです。
原作は、ルポライター・鈴木大介さんの著書『家のない少年たち』です。窃盗や振り込め詐欺など裏の世界で生きる少年、少女を取材したノンフィクション本です。『ギャングース』の巻頭には毎巻「この漫画は実話を基にしたフィクションです。ただし犯罪の手口はすべて実在しますので、ぜひ防犯に役立てて下さい。」と描かれています。
2.『ギャングース』の原作『家のない少年たち』
『家のない少年たち』も読んでみました。ノンフィクションですので漫画よりもリアルです。特に振り込み詐欺の青年に書いてもらった「振り込み詐欺日記」は俊逸です。また、漫画に出ていた登場人物達がリアルに存在することがわかり驚きます。印象に残ったところを2つだけ紹介してみます。
「クローズって嫌いなんですよ」
取材した青年が言った言葉「高校に通えているヤツが不良とか意味わかんねーし。他の不良漫画も高校行ったりで、クソだなって。不良高校いかねーよ。俺ら高校行くとか考えたこと一度もないし、そういう選択肢はないじゃないですか…」私は漫画『クローズ』が好きなんですが(笑)。まあ娯楽ですからね。
取材できなかった最底辺の犯罪者
取材に応じ語るだけの能力を持つ者の、ずっとずっと下に、信念もなく、人の気持ちもわからない、平気で人を裏切る、危険な最底辺の犯罪者は取材できなかった。著者・山本大介さんが、僕の記者としての無力であり、後悔だ。と、あとがきで語っていました。
参考)家のない少年たち
3.『ギャングース』のあらすじ
親から虐げられ、社会にも見放され蔑まれてきた、カズキ、サイケ、タケオの3人。彼らは少年院を退所してから、振り込め詐欺や脱法ハーブショップの売り上げ金など、被害届が出せない、裏社会の金を専門に狙う窃盗団を結成します。
「タタキの稼ぎで日本を買い、俺たちみたいなガキが一人もいない国を作る」と、壮大な理想を語るカズキのまわりに、不遇な幼年期を送り、裏社会に生きるしかなかった仲間達が集まってきます。
4.犯罪の心理、犯罪の手口がわかる
『ギャングース』は漫画の余白の部分に「すずきメモ」として、犯罪者の心理や犯罪の説明が描かれています。これは、原作者の鈴木さんが、取材して得た情報等を記載してくれているのですが、漫画を読みながら、このメモを読んでいくと、漫画によりリアルさが増します。
5.まとめ
後半、タタキの規模は大きくなり物語は一気にラストに突き進んでいきます。この部分は、原作のノンフェクションから発想を得たファクションの展開ですが、漫画の醍醐味をあじ合わせてもらえます。大人たちに可能性を奪われた犯罪少年達の友情物語、おすすめです。