いつもありがとうございます。
マンガ大好きユキチです。
今回は、山本英夫さんの漫画『ホムンクルス』を、ご紹介させて頂きます。
読み始めは、この漫画がどんな漫画か説明するのも難しかったのですが、読んでいくうちに、「おいおい・・・大丈夫か?」と、だんだん怖くなってくる、ホラー(恐怖)漫画でした。
1.『ホムンクルス』の基本情報
著者 | 山本英夫 |
出版社 | 小学館 |
連載雑誌 | ビックコミックスピリッツ |
掲載期間 | 2003年~2011年 |
巻数 | 全15巻 |
作者の山本英夫さんは、1989年に漫画家デビューですから、もう結構なベテランさんです。代表作は、『のぞき屋』『殺し屋1』など、作品数はそれほど多くない方ですが、ちょっとまともではないアウトサイダーな主人公の物語が多いです。
誰もが多少なりと持っている、”まともではない”部分を、クローズアップした山本さんの漫画は、少年雑誌での連載は、ちょっとむずかしいですね(笑)。
2.『ホムンクルス』のあらすじ
新宿の一流ホテルと、ホームレス達が暮らす公園の狭間の道路に、車を止めて車上生活を送る、ホームレスになりきれない主人公・名越進。
車のガソリンも尽きるかけたときに、医学生・伊藤学から声を掛けられ、報酬70万円で、トレパネーションという頭蓋骨に穴を開ける手術を持ち掛けられます。何でも、トレパネーションを行うと、第六感が芽生えると言われており、伊藤はそれを自分の目で確かめたいとのことです。
一旦は断る名越ですが、車が駐車違反でレッカー移動されて切羽詰まり、結局、手術を受けることになります。手術後に、名越が左目で人を見ると、異様な姿をした人達が見えるようになるのでした…。
3.トレパネーションは1万年以上前から行われていた!?
頭蓋骨に穴を開けることは、トレパネーション、もしくは穿頭(せんとう)術と呼ばれ、古代から行われてきたと言われています。
特に、古代インカ帝国の遺跡からは、大きな穴の開いた頭蓋骨が多数が発見されているために、インカ帝国は、高度な医学術を持った文明で、穿頭(せんとう)術が行われていたという説も多いようです。
しかし、古代の頭蓋骨の穴は、こん棒などを使った戦闘による損傷跡では?という説が有力で、現在の医学でも、トレパネーションの効果は疑問視されているようです。
4.ホムンクルスとは?
ちょっとネタバレになってしまいますが、手術を受けた名越は、左目で人を見ると、異様な姿の人が見えるようになってしまいます(右目で見ると普通の人に見える)。
体が鎧で覆われたロボットのヤクザ、首がからだにめり込んだおばさん、ぺらっぺらに薄い男、砂でできた女子高生など、名越は、どんな姿に見えるのか伊藤に説明します。
伊藤は、異様な姿は「他人の深層心理が、現実のようにイメージ化されて見えているのではないか」と言い、深層心理が具象化した姿を、ホムンクルスと名付けます。
もともとホムンクルスは、中世ヨーロッパの錬金術師が作り出す人造人間のことを言っており、漫画『鋼の錬金術師』では、かなり重要な存在となっています。
5.その他
ホムンクルスが見えてしまうようになった名越ですが、実は彼自体がこころに問題を抱えた人であることが徐々にわかってきます。(というか、登場人物でまともな人はいない・・・)
また、それと合わせて、後半からは、名越が徐々に壊れていくのですが、そんな怖いもの見たさで、興味ある人はぜひお読みください。