手塚治虫『アドルフに告ぐ』 ヒトラーの秘密をめぐる3人のアドルフの物語。人間の残酷さが怖いです。

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マンガ大好きユキチです。

今回はマンガ界の巨匠・手塚治虫さんの名作『アドルフに告ぐ』を、ご紹介させて頂きます。

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手塚治虫さんの漫画は作品数も多く、ジャンルも豊富で、全部おもしろいと言っても言い過ぎではないです。その中でも『アドルフに告ぐ』は、かなり上位に入る漫画だと思います。

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1.『アドルフに告ぐ』の基本情報

著者 手塚治虫
出版社 文芸春秋
連載雑誌 週刊文春
掲載期間 1983年~1985年
巻数 全5巻

週刊文春の編集長から「徹底的にシリアスな大河ドラマを」の要望をうけ、手塚治虫さんが神戸に住んでいた時の戦前、戦中の思い出を織り交ぜながら描いた作品です。古い作品ですが、描いているテーマは不変で、古いと感じることはありません。

2.『アドルフに告ぐ』のあらすじ

「これはアドルフと呼ばれた三人の男たちの物語である。彼ら三人は、それぞれ違った人生をたどりながら一本の運命の糸で結ばれていた…」と物語は始まります。

1936年のベルリン・オリンピック。協合通信の記者・峠草平(とうげそうへい)は、オリンピンクの取材中に、ドイツに留学中の弟から「重大な話を伝えたいので、今夜8時きっかりに自分の下宿にきてくれ」と連絡を受けます。

競技がずれ込み、2時間遅れて弟の下宿に着いた草平が見たのは、荒らされた部屋と、めった刺しで殺されている弟の姿でした。市民からの通報で来た警察が遺体を運び去るのですが、翌朝、草平が警察に行くと、そんな遺体や事件は聞いていないと警察はとりあってくれません。

また、弟が殺された下宿に戻ってみると、荒らされた部屋は、そんな痕跡もなく、5年前から住んでいるという住人がいて、弟が暮らしていた痕跡が一切消されています。少ない手がかりを元に、弟の痕跡を追っていた草平は、ナチスの秘密警察に捕まり、「弟から何を聞いた?」と、拷問を受けるのでした…。

3.三人のアドルフ

物語は、第二次世界大戦時の日本とドイツを舞台に、三人のアドルフの数奇な人生を描いた戦争ドラマです。ナチス・ドイツ総統のアドルフ・ヒトラー、神戸に住むドイツ外交官と日本人妻の息子アドルフ・カウフマン、その友人でパン屋の息子でユダヤ人のアドルフ・カミルの3人です。

特に、幼なじみで友人のカウフマンとカミルは、ナチス・ドイツ=ヒトラーによって、その当時の多くの人々と同じように運命を狂わされます。カウフマンは、ナチス党員の父親によって、ドイツ本国に送られ、ナチス党幹部予備校に入学させられ、反ユダヤ主義者に育っていきます。

優しかった少年が、ユダヤ人を虐殺する青年に育っていく。どんな環境、思想でも慣れてしまう人間の不完全さが悲しいです。

4.ヒトラーの秘密

ヒトラーの秘密は、物語のかなり早い段階に明かされていますので、書いてしまいますが、ヒトラーがユダヤ人の血をひいているという出生届や証拠が書かれた文書です。ユダヤ人を迫害、虐殺しているヒトラーがユダヤ人の血をひいている…ドイツにとって国の存在に関わる大問題です。

その文書をめぐって、ドイツの秘密警察や日本の特攻警察が暗躍します。ヒトラーにユダヤ人の混血という説はあるようですが、事実とは確認できていないようです。

5.まとめ

物語は第二次世界大戦後のイスラエル建国からパレスチナ紛争まで続きます。歴史は巡って、迫害されていたユダヤ人が、罪のないパレスチナ人を虐殺していく。

娯楽漫画ではありませんが、人間の不完全さを知れる良書です。

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