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マンガ大好きユキチです。
今回は花沢健吾さんのデビュー作であり、最高傑作とも言われている『ルサンチマン』を、ご紹介させて頂きます。
そもそも「ルサンチマン」というタイトルはフランス語で、「強者に対する弱者の憎悪や、復讐衝動などの感情が、内攻的に屈折している状態」を言うそうですが…穏やかではないタイトルですね。
そんなタイトルを付けられた漫画『ルサンチマン』は、実は、まさにそんな漫画です(笑)。もてない男の屈折した漫画ですので、女性にはまったく支持されない、ある意味潔い漫画です。
1.『ルサンチマン』の基本情報
著者 | 花沢健吾 |
出版社 | 小学館 |
連載雑誌 | ビックコミックスピリッツ |
掲載期間 | 2004年~2005年 |
巻数 | 全4巻 |
花沢さんは大学受験にすべて失敗し、コンピューター関係の専門学校を卒業した後、3年間の印刷会社勤務を経て、漫画家のアシスタントになり、2004年に、29歳で、この『ルサンチマン』でデビューしています。
2.『ルサンチマン』のあらすじ
2015年の東京。坂本拓郎は、零細印刷会社の工場に勤める、デブ、ハゲ、メガネの独身男です。実家住まいで、ボーナス後の風俗が唯一の楽しみという素人童貞で、日々の生活に充実感も得られず、絵にかいたような冴えない毎日を送っています。
30歳の誕生日に、旧友3人と飲んだ拓郎は、自分以上に冴さえない男であるはずの越後大作が、勤めていたパン工場を辞めたうえ、仕事もせずに、ずっと女と遊んでいる・・・という話を聞かされます。しかし、越後の話は、ギャルゲー(美少女ゲーム)の世界であるとわかり、飽きれ笑いとばします。
飲み会の帰りに「オレの彼女に会わせてやる」と言う、越後のアパートに立ち寄った拓郎は、最新式のギャルゲーをやらせてもらい、想像以上に高度なAIキャラクターとバーチャルリアリティに、「完全な現実逃避だ…」思いつつ、その世界を羨ましく思うのでした。
翌日、どうしても我慢ができなくなった拓郎は、貯金をはたいて、パソコンとゲームソフト一式を購入しするのでした…。
3.徹底してもてない男のVR漫画
『ルサンチマン』は、徹底して、もてない男が、アンリアル(非現実世界)に現実逃避している漫画です。主人公・拓郎は、もちろん、そんな世界にハマっていくのですが、現実逃避の先輩、拓郎の友人・越後は、アンリアルの達人です。
越後は、チビで不細工、パン工場をクビになって、それまでの貯金と工場でもらったパンで生活しているのですが、ほぼ全ての時間を、アンリアル(非現実世界)で過ごしています。
越後のアンリアルの世界での名前は、”ラインハルト・ウォルフガング・シュナウファー”。長身で容姿端麗の姿をしており、5人の女性ノンプレイヤーキャラクターを彼女にしています。過去2回の仮想世界大戦を経験した英雄というのですから、居心地の悪い、現実の世界にもどってこないですよね(笑)。
4.まとめ
拓郎もアンリアルの世界の月子というノンプレイヤーキャラクターを好きになってしまうのですが、月子がただのキャラクターではなかったことから、アンリアルの世界全体、また現実世界も巻き込んだ、大きなうねりに飲み込まれていきます。
非常にばかばかしい内容ですが、実はかなり練った壮大な物語であり、作者・花沢さんのルサンチマンが爆発しているおすすめの漫画です。全四巻ですので、一気読み必至です。