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マンガ大好きユキチです。
今回は青春漫画、田島列島さんの『水は海に向かって流れる』を、ご紹介させて頂きます。
柔らかくて、悲しく優しい、いい漫画です。
1.『水は海に向かって流れる』の基本情報
著者 | 田島列島 |
出版社 | 講談社 |
連載雑誌 | 別冊少年マガジン |
掲載期間 | 2018年~2020年 |
巻数 | 全3巻 |
田島列島(たじまれっとう)さんは2008年デビューの女性漫画家さんです。私は初読みだったのですが、連載デビューの前作『子供はわかってあげない』は、いくつも賞を受賞し映画化されたいい作品のようです。すみません。知らんかった・・・すぐに読んでみます。
『水は海に向かって流れる』のタイトルは、左官屋の田島さんの父親の話から、いつかマンガのタイトルに使いたいと、候補としてストックしていた言葉のようです。はじめはグルメ漫画の構想ではじめたこの作品が、タイトルにしっくりくる物語になってくるのは不思議です。
2.『水は海に向かって流れる』のあらすじ
高校進学を機に、母方の叔父の家に居候することになった主人公・直達(なおたつ)は、駅で叔父の迎えをまっていますが、迎えにきたのは、見知らぬOL・榊(さかき・26歳)でした。なぜか不機嫌そうな榊に連れられ家につくと、叔父さんは会社を辞め、家族に内緒で漫画家に転職しており、家は榊をはじめ、女装の占い師、大学教授らが暮らすシェアハウスになっていました。
しかし、叔父さんが漫画の締め切りに追われて、榊に直達の迎えをお願いした際に、手渡した直達の家族写真を見て榊は、直達の父親が、自分の母と不倫関係にあった男だと知りました。高校生だった榊の母は戻ってこなかったのに、直達の父は家族のもとに戻ったんだ…と知った榊。奇妙な共同生活がはじめります。
3.誰でも抱えている、やりきれない怒り
そんな直達と共同生活を送ることになった榊は、複雑な思いを抱きながら過ごします。W不倫した親の子が偶然出会ってしまって共同生活。まさに漫画の設定なのですが、子供にとっては悲劇です。物語の途中で、直達も不倫のことを知ってしまいます。
『水は海に向かって流れる』は、直達と榊の2人が、このやりきれなさを乗り越える姿が描かれています。
4.同居のおねえさんに恋!マンガ
男子漫画に出てくる恋愛で、私が好きなパターンは、年上おねえさんとの恋です。これは、私が人生にそんな機会が無かったからなのか?、そもそも男子の根本的な願望なのかわかりませんが、『水は海に向かって流れる』も、徐々に直達が榊のことを気になったくる姿が描かれています。
しかも、同居の年上のおねえさんへの恋!というパターンの代表作は、やはり『めぞん一刻』となります。最近読んだ『猫のお寺の知恩さん』もそうでした。ガツガツと恋に一直線になれない、もどかしさが、読んでいて面白いのだと思います。
参考)『めぞん一刻』です。
参考)『猫のお寺の知恩さん』です。
5.まとめ
W不倫をしてしまう、子供を捨てて出て行ってしまう親。そんな親を持つ子供達。しかし、田島列島さんのやさしい絵と同様に、物語は柔らかく進みます。全3巻と短い、青春のひと場面ですが、読後は暖かい気持ちになります。